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金沢地方裁判所 平成5年(わ)261号 判決 1994年4月12日

(一) 本店の所在地

金沢市材木町三番三号

法人の名称

株式会社シンコー

代表者の氏名

反圃豊

(二) 本籍

金沢市材木町八七番地

住居

金沢市材木町三番三号

会社役員

反圃豊

昭和一六年四月二四日生

右の者らに対する法人税法違反被告事件について、当裁判所は、次のとおり判決する(公判出席検察官松浦由記夫)。

主文

被告法人株式会社シンコーを罰金一二〇〇万円に処する。

被告人反圃豊を懲役一年に処する。

被告人反圃豊に対し、この裁判確定の日から三年間その刑の執行を猶予する。

訴訟費用は被告法人株式会社シンコー及び被告人反圃豊の連帯負担とする。

理由

(罪となるべき事実)

被告法人株式会社シンコー(以下「被告会社」という。)は、金沢市材木町三番三号に本店を置き、旅館業等を営むもの、被告人反圃豊は、被告会社の代表取締役として、その業務全般を統括しているものであるが、被告人反圃豊は、被告会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、不動産の売却代金の一部をいわゆる裏金で受け取って売買価格を圧縮する方法により、所得の一部を秘匿した上、平成二年五月一日から平成三年四月三〇日までの事業年度における被告会社の実際の所得金額が一億四二八六万四〇八七円であったにもかかわらず、平成三年六月二九日、同市彦三町一丁目一五番五号所在の所轄金沢税務署において、同税務署長に対し、右事業年度の所得金額が零円で納付すべき法人税額はない旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって、不正の行為により、被告会社の右事業年度における正規の法人税額五一一二万五七〇〇円を免れたものである。

(証拠の標目)

括弧内の記号番号は、検察官請求証拠の記号番号(番号は記録上算用数字)である。検察官に対する供述調書は「検察官調書」、大蔵事務官に対する供述調書である質問てん末書は「大蔵事務官質問てん末書」と記載する。

一  被告人反圃豊の当公判廷における供述

一  被告人の検察官調書(乙九)及び大蔵事務官質問てん末書(八通。乙一ないし八)

一  中村実の検察官調書(甲二三)

一  中西正人(三通。甲二九ないし三一)、上田宏暢(甲三四)、尾崎光順(三通。甲三五ないし三七)、池尾博(二通。甲三八、三九)、山口孝(甲四〇)及び反圃実(甲四六)の各大蔵事務官質問てん末書

一  商業登記簿謄本(甲一)

一  金沢税務署長作成の証明書(甲二)

一  検察事務官作成の捜査報告書二通(甲三、四)

一  不動産登記簿謄本八通(甲五ないし一二)

一  金沢税務署長作成の証明書二通(甲五二、五三)

一  大蔵事務官作成の査察官調査書八通(甲五四ないし六一)

一  押収してある総勘定元帳四冊(平成六年押第三号の一、三ないし五)及び振替伝票一冊(同押号の二)

(法令の適用)

一  罰条 被告人反圃豊につき、法人税法一五九条。被告会社につき同法一六四条一項(一五九条)

二  刑種の選択 被告人反圃豊につき、所定刑中懲役刑を選択

三  刑の執行猶予 被告人反圃豊につき、刑法二五条一項

四  訴訟費用 被告人反圃豊及び被告会社につき、刑事訴訟法一八一条一項本文、一八二条(連帯負担)

(裁判官 三宅俊一郎)

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